2015年9月26日土曜日

消費税の軽減税率はむしろ金持ち優遇だ。財務省案の還付方式はまっとうだ。

○食料品への軽減税は、お金持ちほど得をする 
 消費税10%時の食料品などの軽減措置として、財務相は還付方式を打ち出し、これに対して反対の声が上がっている。政策決定の鍵を握る公明党も「反対」の動きだ。(9月26日付新聞)。
以前にも書いたが、食料品などへの軽減税率は、愚民対策としては喜ばれるだろうが、まさに愚策でしかない。
財務省(netより「引用」)
そもそも消費税は等しくすべてのものに一定の税を課すことに意味がある。かつて物品税などと言って、いわゆる「ぜいたく品」に課税していたが、時代が移り、何がぜいたく品かは定義できなくなった。だから「等しく課税する」という消費税という発想が出てきた。
多くの国で取り入れられている制度だ。
 食料品など日常消費するものに、低所得者への「配慮」として税を軽減するという発想は、一見まっとうに見える。はたしてそうだろうか。
 お金持ちは(どちらかというと)高額な食品を購入し、高額なレストランで外食する。(という傾向があるだろう)。だから、食料品への軽減税は、お金持ちにもメリットがある。いや、むしろ高級食材を購入する層ほどトクをすくことになる。
 食品にあまりお金をかけない低所得者層は、お金持ちの得に比べればわずかでしかない。この事実に着目すれば、「税の公平負担」から明らかにズレている。
大衆はなぜ小学生でも分かるこうした事実に目を向けないのだろう。“大衆政治家”も同様だ。

○低所得者対策は別の政策で臨むべきだ
そもそも年金は、物価にスライドすることになっている。消費税率が上がって、物価が上がったら、年金もスライドして上がる。だから年金生活者は消費税10%を基本的に心配することはない。もちろん十分上がらないのではないかという心配もあるだろうが、それは別の政策で応ずるべきだ。
金持ちを利する(という言い方はちょっとイヤらしいが)軽減税率より、有効は方法はある。

○軽減税率導入のコストは厖大だ。
食品の何に軽減税率を課すのか、どこに線引きするのか、だれがどうやって決めるのだろうか、どう決めようと、必ず誰かの不満が残る。また小売業者などでは、軽減税率のための手間と作業は大変だ。リンゴを売るのに、リンゴそのものは軽減税率だが、それを入れる箱は普通の税率などということが起きる。そうした社会的コストは見えにくいが、非常な損失である。

○複雑な仕組みはかえってモラルハザードを起こす
仕組みが複雑になると、それを処理する人間は負担を感じて、かえっておざなりになり、次第に形骸化していく。これは火を見るより明らかだ。面倒くさくなると、どうしても誤魔化しや不正が起きやすくなる。持続して税を納めてもらうにはできるだけシンプルにすることが必要だ。

どうしてこんな単純なことが“大衆政治家”には理解できないのだろう。もっとも愚民が選出する代表だからしょうがないけど。

財務省の「回し者」でも「お味方」でも「応援団」でも何でもない。純粋に消費税を考えた場合、10%程度の税率で軽減税率を導入する愚策に反対するだけである。
有権者も国会議員もこんなことにエネルギーを使うより、どうしたら歳出を抑え、限られた国家予算をどう使うか考えた方がいい。以上。

追伸:今週号のアエラに同趣旨の記事が載っていた。たまにはまっとうな指摘をすることもある。この雑誌は。

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