「ドライビングMissデイジー」は、1989年の映画だ。
なぜだか印象に残る映画だ。DVDで2回観てしまった。
白人の警察官が「ユダヤ人と黒人の組み合わせか」と嘲笑するセリフが、この映画の背景のすべてを物語っていた。
『ドライビングMissデイジー』 |
と、前置きが長くなってしまったが、町山さんのこのアメリカ映画を分析した近著は、アメリカを知る上で、最もリアルな本だろう。この本を読んでアメリカの大衆社会のえげつなさと反知性主義の歴史が本当によく分かる。アフリカ系アメリカ人や先住民の苦難の道のりと、今も多くの白人に内在する差別意識など、一言では言い尽くせない豊富な内容だ。
「バックトゥーザヒューチャー」や「フォレストガンプ」に隠された意図など、アメリカの現実を知ることができる。単純に感動したり、面白がって映画を見ていては、いけないことがわかる。
『さらば白人国家アメリカ』に書かれていたとおもうが、「サイレント・マジョリティー」の意味が、単に物言わぬ多数の人々という意味ではなく、アメリカでは、表立って差別意識を出せず、ホンネを言わない白人の集団を指すこと。ペイリンが言う「リアルなアメリカ人」という言い方が、白人たちを指すことなど、隠語的意味を解説してくれている。
報道では「草の根の保守」としか描かれていない(と思う。少なくともNHKニュースでは)「ティーパーティー」運動が、実はコーク兄弟に操られた運動だったことなど、それこそ「リアル」なアメリカが分かる。
一読の価値あり。内容から言って1400円は非常にお買い得!
アメリカの“ルポ”というかフィールドワークで興味深いのは、もちろん渡辺靖さんの一連の著書だ。でも渡辺さんの本では補いきれないものが町山さんの本にはある。
ちなみに「アフターアメリカ」はこれはこれで、大変いい書籍だ。
0 件のコメント:
コメントを投稿