2017年12月9日土曜日

AbemaTVのバカ! 将棋観戦という趣味

日清月歩のweb世界では
すでに古典になった本です


かつてこのブログで、『ウェブ進化論』の梅田望夫氏の文を紹介した。梅田氏は将棋観戦ファンとしても著書も数冊ある。彼曰く、「将棋が趣味です」と言うと、何段ですかとか、強いんですか、など、必ず棋力を問われると。観戦が趣味だというと、将棋を知らない人からは不思議がられることもあると書いていた。野球やサッカーなら自らはしないけど観るのは好きだという人は大勢いるだろう。だけど将棋や碁だと、そういう人びとがいることが想像されない。でも自分も「将棋観戦ファン」であり、のめり込むという意味では唯一の趣味と言ってもいい。 
 
 ある1手が、どういう考えのもと、つまりその先をどう読み自分の勝利に向かって指された手なのか、棋士の頭脳の中味を解説してくれるのは、知的な趣味として非常に楽しい。NHK-BS放送が、将棋観戦ファンを切り捨ててから、その楽しみの場がなくなってしまった。確かにCS将棋チャンネルやニコニコ動画ではやっていたのだろうが、CSは有料、ニコニコも無料だとつながりにくく、視聴が集中する対局だとほとんどつながらなかった。
 そこに登場したのがAbemaTVの将棋チャンネルだ。注目の対局…ここ1年では藤井聡太4段の対局だろう…を余すところなく中継する。しかもとっかえひっかえ解説の「名手」が出てきて、1手の意味を深く解説してくれる。これほど思しろいものはない。
 とりこになったがために、多くの時間を将棋観戦に費やすことになった。仕事から帰って家でやらなければならないことは山ほどあるけど、結局、将棋解説を観てしまう。ア~ア。どうしてくれるAbemaTV。と、言うことで「バカ!」という叫びになる。
 
 AbemaTV将棋解説のいいところは、私のようにあまり棋力のない、初心者(将棋を覚えて50年以上たっても初心者なんて、なさけないけど)にちょうどいい解説をしてくれることだ。そのレベルのあんばいが心地よい。A級順位戦(C級2組)藤井対高野線は、夜8時を過ぎてもやっと駒がぶつかった程度というかつて見たこともないスローな展開で、夕食を食べながらずっとくぎ付けだった。急いで風呂にも入ってもまだ優劣がついていないような戦い。高野4段はすでに1分将棋だった。しかし年老いた身には睡魔があり午後11時過ぎは耐えがたい。泣く泣く寝た。朝5時すぎに起きて真っ先にネットで見たのは勝敗の行方だった。もちろん羽生さんと渡辺竜王の闘いもずっと見ていた。これもすごかったけど。
 将棋観戦ファンというのがどの程度いるのかわからない。しかしおそらくAbemaTVの創始者・藤田晋氏もそうなのであろう。だから需要があると見込んでこのチャンネルを立ち上げたのだと想像する。(AbemaTVが最近注目されたのが、元スマップの3人の72時間番組だったらしいけど、すみません、こちらには全く興味がなく何も見てません。)
 今はまだ忙しい身だけど、そのうち人生も黄昏てくると時間も多くなるかもしれない。その時もまだ将棋チャンネルがあれば、きっと1日中釘づけになることだろう。
 藤井聡太現象に、ここ1年は非常に注目されている将棋だけど、この知的で宇宙的な世界の奥深さ、面白さは尽きることがない。

面白いだけでなく、結構知的な本です
別の話になるけど、“アメリカ研究家”の町山智浩さんの『マリファナも銃もバカもOKの国』(10月に文庫になったばかり)を読んでいたら、『Pawers of Two 』という書籍が紹介されていた。ポールマッカートニーとジョンレノン、ピカソとマティス、アップルとマイクロソフトなど、ライバルがせめぎ合って驚くべき成果をあげた例を研究した本だという。森内永世名人もTV番組で言っていた。羽生さんがいなければもっとタイトルを取れただろうと思われるかもしれませんが、そうではなくて羽生さんがいたからこそ私も名人になれた、と。ライバルがいてこそ自分を高められる。この真理は多くのことに当てはめられる。改めて思うことだし、忘れないようにしたい。







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